本研究グループでは、高温超伝導体や巨大磁気抵抗物質等の強相関電子系材料の新規開拓と磁場下での物性研究を行っています。
我々は、金属的2重鎖を有する鋼酸化物Pr247において、還元熱処理により超伝導を示す ことを発見しました。1986年ベドノルツ・ミュラーによって発見された鋼酸化物系の超伝導は、2次元の網酸化物面で起きていますが、我々の発見したPr247系では、金属的2重鎖が超伝導に寄与している可能性が強いといえます。
一次元の鋼・酸素イオンからなる2重鎖が超伝導になるという報告は、世界で最初の報告であり、材料物性分野に与えるインパクトは大きく、成熟した鋼酸化物系超伝導の研究においてブレイクスルーを与えると考えられます。
さらに、マンガン系酸化物において金属イオンと酸素イオンからなる八面体構造の創り出す新しい磁場効果(超巨大磁気抵抗、巨大熱磁気効果、巨大磁気歪み)の物性研究を、パリ南大学と共同で行っており、独創的な研究成果を国際的学術雑誌に多数発表しています。
また、この物質の緩和現象の研究を通じて、磁場効果の起源を金属と絶縁体クラスターの共存状態(相分離)にあることを解明しました。